(参考) ある車庫証明申請時のこと・・・
当事務所では年間数多くの車庫証明の申請・届出を行っているが、その申請中において、稀に下記のようなことで交通安全協会より電話がかかってくることがあります。
「台数オーバーです」
今回申請した保管場所においては、既に駐車可能限度台数の申請・届出がなされているので、もうこれ以上この保管場所に車を停められない(=今回の車庫証明においてその車を止められるスペースがない)ということであると思います。
しかし、これはしっかりと調べた上で言っているわけではなく、記録上のみの確認で言っていることが多いように感じます。
記録上のみの確認で言っているものだと思うことに関連することとして、車庫証明申請・届出ごとに、その申請・届出は「新規」なのか、「代替」なのか、「増車」なのか等と確認される点があります。
申請者からの上記のような申告により、交通安全協会のその時点で保有している情報と照らし合わせ、また更新していくことにより、交通安全協会の方でその保管場所について今何台の車が車庫をとっているか、今回の車庫証明の申請・届出は台数オーバーしていないか等と確認されているのであろうと想像できます。
私ら申請する側の人間にとって納得がいかないと思うことは、実際に現地調査もせずに、上記のように「台数オーバーです」などと言っていることがあるであろうと思うことです。
また、交通安全協会の方で保有している情報は、下記の点により、絶対に正しいものであるということは到底思えません。
- 当事務所の経験上、車庫証明の申請・届出ごとに、「新規」「代替」「増車」等が正しく申告されているとは到底思えない。また、ある申請において「代替」で申請したときでも、代替車の内容が不明な場合などに「「増車」で処理していいか?」などと申請窓口の警察官より言われるなどすることがある。
- 車を売ったりなどすることは通常警察や交通安全協会の方では分かるはずがない(それによって保管場所のスペースが増加)。また、保管場所の構造は当然変化することがある(敷地を更地にしたり建物を建てる場合がある)。このようなことは、リアルタイムで監視しない限り、保管場所についての絶対に正しい情報を知ることは不可能であると思われる。
- 原則、富山市および高岡市以外は軽自動車についての車庫の届出が不要なので、富山市および高岡市以外の場所では交通安全協会の方では把握していない軽自動車が駐車している可能性がある。
上記のようなことがあるにもかかわらず、現地調査もろくにせずに「台数オーバーです」などと言ってくるのはおかしな話であります。
仮に、現地調査をしたうえで保管場所の敷地面積について台数オーバーと言っているとしても、台数オーバーというのであれば、その敷地に現に停まっている保有台数についても現地調査員の方でしっかりと確認すべきであると思います。上記で述べたように、過去にそこで車庫をとった車が既に売却されているなどの理由により既に存在しない車がある場合等もあるからです。
保管場所の敷地面積および現にその敷地に存在する車の台数の双方をしっかりと調べた上で「台数オーバーです」と言うのなら話は分かります。敷地面積については現地調査員が現地に赴いて調べれば容易に分かることであると思いますが、しかし、現にそこに何台の車が実際に駐車しているかということを調べるのは現実的には難しいであろうと思います。
現にその保管場所に何台の車が駐車しているかについて確実に把握するためには、最低限、そのすべての車検証の提示を受けるなどして確認する必要があると思いますが、そのようなことをする権限は現地調査員には与えられていないであろうと思うからです。
以上のことから、現地調査員はその保管場所の敷地面積については現地調査をすれば容易に分かるが、実際にそこに何台の車が存在しているのかを正しく把握することは現実的には不可能であるという結論になります。
にもかかわらず、申請者(主にその代理人)に「台数オーバーです」などと言ってくるのです。明らかにこれはおかしな話であります。
また、そもそも、法律上、「新規」「代替」「増車」等を明らかにすることは法律上の申請における必須事項ではないし、「台数オーバーです」などということも単なる管理上の話である
富山県の場合、今回の車庫証明の申請が「新規」なのか、「代替」なのか、「増車」なのかなどということを「自動車保管場所現地調査結果報告書」という様式を用いて申請者に報告させるのであるが、この様式は、そもそも法律上、提出を要求されている書類ではありません。(自動車の保管場所の確保等に関する法律施行規則1条)
また、関係法令を見回してみても、それらに関連する文言は一切ありません。
この書類はそもそも現地調査員が記入するものであります。 ※下記の書類5ページ参照
自動車の保管場所証明等事務処理要領の制定について(例規通達)(富山県)
一般の人は、このようなことはいちいち調べたりしないので、何も知らないでそういうもんだと思い、何も考えずに警察に言われるがままに提出しているのだと思いますが、実際は、この書類に関しては、申請する側の人間が提出することに関して任意に協力しているというものなのです。
そのような書類を用いて「新規」「代替」「増車」などと報告させるのですから、そこには何の法的義務もありませんし、実際に上記のように曖昧な運用が図られておりますし、また、現実が実際と食い違っていたとしても申請が棄却されることもあり得ません。
「新規」「代替」「増車」などの報告および交通安全協会側の情報収集は、極めて曖昧であまり意味をなさないものであるということです。
このようなことから、「新規」「代替」「増車」などと報告させることや、それを根拠の一つとして「台数オーバーです」などということは法律的な話ではなく、交通安全協会側の都合による管理上のお話であるということです。
厄介なのは、上記のような法律論を話しても、交通安全協会の職員は法律を知らないということ
経験上、交通安全協会の職員はあまり法律を意識されていない(知らない)と感じます。しかし、車庫証明は「自動車の保管場所の確保等に関する法律」という法律に基づいた申請・届出であるので、行政に関わる人間が法律を知らないでは済まされません。
法律を知らなければ、職員一個人の勝手な判断・思い込みで審査が進められるおそれがあり、それによって申請が違法・不当に棄却されたり、交付までに必要以上の時間がかかってしまう危険があります。このような人間が申請に関わることは、県民の権利が違法・不当に侵害されるおそれがあり、大変危険です。
ある交通安全協会の職員の中には「私、法律のことはよくわからないんで・・・」と平気で言ってくる人間もいます。法律に基づく申請に携わる者として、これはおかしいのではないでしょうか。
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